独女フェミニストのオンネン

フェミニズムと反出生主義

独立女性のライフハックとしての反出生主義の可能性

反出生主義をフェミニズム的文脈、女性人権の観点から考察してみました。

目的は以下に前書きとして記します。

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女性人権から反出生を考える

(前書き)

「結婚も子供も要らないのに周りに急かされる...しんどい...」

「妊娠出産は怖い...これは私の精神が子供だから...?」

「女性なのに子供が欲しくないと考える自分は異常者なのか...?」

「女性一人で生きていこうとすることは悪なのか...?」

 

このような、独身志向の女性を苦しめる”出生賛美の呪い”

この呪いをフェミニズムと反出生主義の観点から解き、

誰かに依存せず、独立して一人で生きたい女性の励みになればと思い、したためます。

小難しく書いてしまいましたが、この記事では

「自分の体と人生が一番大事!それを後ろめたく思う必要はない!」

ということを伝えたい。

反出生主義とは

反出生主義(はんしゅっしょうしゅぎ、Antinatalism)とは、生まれてきたことおよび人間を生み出すことに対して否定的な意見を持つ哲学的な立場

反出生主義 - Wikipedia(引用元)

まとめると

環境問題、道義的責任、子の幸福(児童虐待)、実子への異様な固執不妊治療=人工生殖)などの観点から「人間を生み出すべきではない」とする哲学

ということだ。

 

よくある誤解であるが、反出生主義は他人に死を強要する考え方ではない

分かりやすく崩して言うならば、「この世に新しい人間、もう要らなくない?」である。

命そのものを捨てるのではなく、"新しい"命が必要なのかと問うているのだ。

こと出産を請け負う女性に関しては「自分を痛めつけてまで産む意味、ある?」といった所だろうか。

痛めつけているのは女性自身の身体だけでなく、人生(経済力)や尊厳もである。

そもそも妊娠・出産は健康ではない

陣痛などの痛みが常軌を逸していることは広く知られている所だ。

しかし、妊娠という行為そのものの不健康さ、女性自身の命の危険についても是非ご一考いただきたい。

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妊娠が原因の疾患は数多く存在する

例えば血栓症

妊娠中および出産後12週間の静脈血栓症の発症頻度は、年間1万人あたり、妊娠中は5~20人、出産後は40~65人(日本産婦人科学会より引用) 

また血栓による合併症はほとんど分娩時の外傷によって起こる。

ゆえに経腟分娩よりも帝王切開の方がリスクが高いと言える。

 

血栓が血管を通って肺に到達すると、肺塞栓症という命に関わる危険な状態におちいる。

(肺の血管が詰まることにより酸素供給が滞り、心臓の負担が増して、ショック状態を引き起こすため)

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血液循環が滞る=死

血栓症だけでなく、妊娠時高血圧(脳出血の危険がある)、妊娠糖尿病など妊娠が原因で引き起こされる疾患は数多く存在する。

 妊娠することは健康ではないし、女性にとって当たり前のことではないのだ。

 (以下の記事では特に不妊治療=人工生殖について解説した。興味があればぜひ。)

 

on-nen.hatenablog.com

 

加えて、本国(日本)では無痛分娩の適用が諸外国に比べ大幅に遅れている。

会陰切開は無麻酔がスタンダードになっている始末。

安全な避妊法・中絶法へのアクセス含めて女性の身体(痛み)へのケアが不足しているといえる。

 

女性の経済的にも健康ではない。

知っての通り、結婚出産を機に女性のライフプランは一変する。

そのように社会制度、雇用制度が作られているからだ。

結婚出産を”自分の意思で”選ぶように予め社会が設計されている、ともいえる。

子育てのために労働時間が削られ、昇進が阻まれる。

つまり労働力の市場価値が落ちて経済力も下がるのだ。

妊娠出産が女性の労働市場価値を下げている、と言える。

(女性の労働力が買い叩かれる仕組みについては、前回逃げ恥のスペシャルに際して解説した。ご参照のほど。)

on-nen.hatenablog.com

 

愛するわが子を連れてきて良い社会なのか

そもそも現代社会においては女性の立場が健全ではない。

それは成人女性に限ったことではない。

女児であれば幼少期から性被害の危険にさらされ、入試・就職を阻まれる。

男児であれば何かしらの形で女児・女性を加害する。

直接的な暴力・加害でなくとも、社会構造が男性優位に設定されているからだ。

女性については妊娠出産を前提として入試枠を減らされたり、採用・昇進を見送られる。

一方で男児は偶然身体男性として生まれただけで、上記を含めた様々な障壁がパスされる。

 

こんな社会にわが子を連れてきたいだろうか?

女児か男児かに関わらず、子供を生む(人間を増やす)のを止めるのに十分な理由だと考える。

資本主義が生む激しい競争社会

現代社会は激しい競争社会である。足の引っ張り合いだ。

先述のように男女どちらの性別に生まれるかで人生の可能性・難易度が大きく変わる。

それに加え、生家の教育資本や親の知能を含む環境も人生の難易度を左右する条件である。

どういう形で子に現れるかというと、学力・学歴、すなわち経済力である。

つまり子供本人の努力ではどうにもならない部分で、競争社会に飲み込まれていくということだ。

そして競争は一生続く。

競争し続けなければならない仕組みに既に社会が構築されてしまっている。

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労働者同士で競争し、資本主に安く買い叩かれる社会構造

私自身は偶然生まれた家が教育熱心だったこともあり、自分を食わせることには今のところ困らない見立てだ。多分...。

この一時の安寧の下には、これまでの人生で踏み台にしてきた人達がいる。

不可抗力ではあるものの、事実だ。

 

必ず誰かが負ける社会構造で、わが子に他所の子供を押しのけろと差し向けたくない。

また、本人にはどうにもならない要因で”負け”たとすると、以降の人生を困窮と過ごすことになる。

現状、競争社会において負けることは、両親ではなく子供本人の"自己責任"で片づけられることが多い。

しかし私(筆者)はその様には考えられない。

この世が激しい競争社会と分かっていながら生み出した両親の責任は?

 

これもまた、新たな人間を生み出さない理由には十分ではないだろうか。

そもそも「新しい人間歓迎ムード」を作りやたらと女性に子供を産ませようとするのは資本主義的にありがたいからである。

何の商売をするにしても(あるいは国家を運営していくにしても)、頭数は多いに越したことは無い。

例えばスマホの無料アプリの広告、人間が多ければ多いほど表示数が増えて儲かるのだ。

(この辺りは過去記事で解説したのでぜひご覧ください。)

on-nen.hatenablog.com

 

 自分の人生が一番大事でオールオッケーでしょ!


ざっくりまとめると「今生きてる独身女性って、もっと自分のことだけ考えてもいいんじゃない?」「産みたくなくて当たり前じゃない?」ってことです。

 

転んで擦りむくのは痛いと分かっている。

だから転ばないように足場の悪いところでは走らないように心がける。

妊娠出産も同じことだ。

女性の身からすれば、自分の命が脅かされ、キャリアが断絶され経済力が奪われることはとうに分かっている。

ならば避けたいと思っても不自然ではないと思う。

足場も悪いことだし。(社会情勢・競争社会含む生活環境)

 

というか

子供世代のみならず自分世代も年金がもらえるかわからないのに、

新しい人間(犠牲者)を連れてきている場合ですか?

世界規模のパンデミックが起きて不況が続く見通しが立ってるのに、

「自分の遺伝子入りオリジナル人間が欲しい」とか言ってる場合ですか?

 

独立女性の皆さん、自信と確信を持って自分を大事にしていきましょう!

産まなくても、産みたくなくても自分自身でフツーに”一人前”!

 

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やりたいことが多すぎて産んでる暇がない

 

おわり